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真昼の月 真夜中の太陽 【気象系BL】

第11章 世界にひとつだけの花


【再会】



ホストクラブで働く事を、家族の為にも辞めようと考えていた頃


オーナーが話を持ち掛けてきた
兼営クラブを、僕に任せたいと…


今さら、"表"の仕事なんて出来るわけないと思っていたし、有り難い話だった


収入は安定するし、仕事内容だって、今よりは妻が安心してくれると思った


だけど……


胸の奥に閉じ込めた想いは


ある日、突然


紐解かれる










新人の面接、僕の元に現れたのは……





「どうぞ」


「…え」





あなた、だった





時々、施設には顔を出していたけど


あなたの話題は、ワザと避けていたから……
叔父さんの話じゃ、幸せそうだと、それだけ聞いていたのに?





あれから、3年


華奢な体が、ますます頼りなく見える


だけど、記憶のまま綺麗な人だった


戸惑いながらも、僕が促した椅子に座り、真っ直ぐに視線を合わせ


淡々と質問する僕に、答えるあなた


聞かなくったって、苦労してるのがわかる


じゃなきゃ、わざわざ水商売なんかしない


小百合姉ちゃんの性格的にも尚更だ


余程、切羽詰まってんだな





「じゃ、以上で。そうですね……いつから来れますか?」





にっこりと余裕の笑みを見せた


僕は…あなたに動揺なんかしてない


すべては終わったんだ


ただ……


神様はきまぐれだね


どんなゲームを見たかったの?





「ゆう…私」




何か言いたげなあなたに気付きながら、
変わらぬ笑顔で言った





「……質問ですか?

あと、これだけ言っておきますけど、

あなたは僕に雇われたんですから。軽はずみに"ゆう"なんて呼ばれたら困ります」

「……はい」






俯いたあなたに、追い討ちを掛けた

僕を受け入れてたら、こんな苦労しなくて済んだのにね?





「"ゆう"なんて、店の子に呼ばれてんの知られたら、

ウチの奥さん妬いちゃうから」

「……え」

「結婚したんだ。可愛い息子もいるよ」





僕はシアワセなんだと、


あなたが得るはずだった生活は、こんなに満たされていたと


知らしめたかった





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