第11章 世界にひとつだけの花
【惑星のかけら】
「ユウ…!3カ月だって」
彼女と何となく付き合うようになって……
穏やかなひと時を過ごす度、
こんな世界に自分がいる事が不思議で仕方なかった
"冒険させてあげる"なんて、お金を掛けたデートや、
サプライズプレゼントをしただけで
その度に喜んでくれた彼女は、お礼にとささやかなプレゼントをしてくれた
彼女が作った弁当を持って公園に出掛けたり、
手料理が出来るのを、のんびり部屋で待ったり、
それこそが、僕には"冒険"だった
彼女は僕に、
普通の幸せを教えてくれた
「結婚しようか」
狂おしく、切ない気持ちで想うだけが、愛じゃないんだな
きっと、これも"愛"
あなた以外の人と結婚して、まさか僕が父親になるなんて
想像すらしたことなかった
「抱っこしてあげて」
無理矢理渡された、小さな塊
甘いミルクのニオイと
羽のような軽さに戸惑った
「"翔"ってつけたいの。
……自由に羽ばたけるように。素敵でしょう?」
自由に…か
そうだね
「いい名前だ」
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