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真昼の月 真夜中の太陽 【気象系BL】

第11章 世界にひとつだけの花


【君しかいらない】








あなたが僕を避けてるのに気付いて‥‥


自然と施設に行く事も少なくなった頃


叔父さんに言われてた養子の話を、正式に断ろうと


ちょうど、その場に居合わせた時だった


鳴り響いた電話に出た小百合姉ちゃんは、途端に崩れ落ちた


顔色が一瞬にして青ざめ、電話を持つ手も、声も、震えてる





「小百合姉ちゃん…?」




叔父さんと側に寄ると
辿々しく、言葉を吐き出す






「か、彼…が

刺されたっ‥‥て」





警察から連絡があり、慌てて病院に駆けつけると


看護士に案内されたのは


手術中を表示する場所だった





カタカタ震える小百合姉ちゃんを、


叔父さんと2人で、支えるようにして廊下のソファーに座っていた


一体、何があったんだ










「サクライユウさんですか?」






静かな廊下に響く声

顔を上げると

見知らぬ男が、警察手帳を取り出し


こう付け加えた






「事件のことで、お伺いしたいことがあるのですが」


叔父さんと小百合姉ちゃんが、強張った表情で僕を見るけど


"意味がわからない"と2人に瞳で合図した




だけど、直ぐに明らかになったそれは


僕の感情を大きく揺さぶった





「加害者の女性は直ぐに捕まったんですが…。

"ユウ"の為にやったと、そればかりを繰り返していて……」








そういう事‥‥ね


ご褒美、そんなに欲しかったんだ?







「身に覚えは、ありますか?」





手術中か…

まだ、判断出来ないね





「……何の事か、僕にはさっぱり……」





こんな時


それらしい顔するの、ナンテコトないよ


感情と違う表情なんて


ガキん時から、腐るほどやってる


ホストと客の関係


店の中でも外でも、完璧に相手してた


彼女が僕を特別視しようと


周りには、熱心な客を相手する"ユウ"にしか映ってない


凄いね


人を想うって、


周りを見せなくするんだね





あ‥‥

それは、僕も同じか





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