第11章 世界にひとつだけの花
【嘘つき】
跨がった身体をずらし、脚の間に膝を入れ
下着の上から刺激する
ビクンと背中を逸らし、それでもバタバタと身体を捻らし抵抗を止めない
涙が頬を伝い、
「やめて、やめて」と譫言のように囁く姿に
苛立ちと焦りが芽生え、無理矢理唇を重ねる
「…っつぅ‥‥」
途端に、痛みが走り、唇に触れると赤い血が付いた
「私…っ
お願い…!ゆうの事嫌いになりたく‥‥ないの」
止め処なく流れる涙は
僕の心をチクリと刺す
どうして?こんなに好きなのに…?
愛してるのに…?
「‥‥ウソツキ」
僕の言葉に、彼女が戸惑いの色を見せた
「僕の幸せ、願ってくれるんじゃなかったの…?」
そう、言ってたじゃない‥‥
押さえつけた手の力が抜けると
乱れた服を隠すように、僕から離れ
「ごめんね」
そう、ひとことだけ言って
背中越しに、ドアの音が響いた
結局、僕を愛してくれる人なんて
どこにもいない
ひとりきりの
暗い納戸で、声も立てずに泣いた
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