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真昼の月 真夜中の太陽 【気象系BL】

第1章 終わりの始まり


【シーソーゲーム】




一歩外に出れば、建物に囲まれたコンクリートの街並みなのに





色とりどりの花

空気を浄化するように溢れた緑は

まるで別世界みたいだ





彼女が、俺の頼んだ花束を作る間

小さなベンチに腰掛け、黙ってそれを見てた





不意にその手が止まり‥‥


俺に振り返る




「なに?」

「……何でもありません」

「‥‥見んなって?」

「そうゆうわけじゃないです‥‥」





困った顔して、やりづらそうに作業を再開して‥‥





「そりゃ、見るでしょ」

「‥‥もう、出来ますから」




リボンを掛けながら、そう言う彼女の口振りは

少しの苛立ちを含んでる




毎日、花を買い

名前を尋ね

笑顔を浮かべるだけ

意味深なセリフを口にしても

その後は何もない





「急かしてんじゃないよ?(笑)」

「‥‥はい。出来ました」




手渡された花束を受け取り、彼女に笑う




一瞬、戸惑って‥‥

俺の、気持ちを読もうとする





そうだね

そろそろ、ひとつくらいアメあげてもいいかなぁ





「‥‥ナナちゃん」




彼女の大きな瞳が、さらに見開き‥‥ 黙って、俺を見つめる

名前を聞いておきながら、呼んでくれないもんねぇ俺(笑)




「なかなかね‥‥タイミング掴めなくて」

「え?」

「ナナちゃんって呼ぶの」




ちょっと俯き加減で照れた素振りを見せると

ほんのり頬をピンクに染めて、彼女が微笑んだ





「私も‥‥なかなか聞けなくて‥‥」

「‥‥何を?」

「二宮さんて‥‥下の名前なんて言うんですか?」






「‥‥カズナリ」

「カズナリ、さん」

「うん。‥‥“さん”はなくていいよ?」

「カズナリ‥‥くん?」

「ふふ、それでもいいけど」





目を細めて笑うと、彼女も照れて笑う





「じゃあ、カズナリくん」



なぁ、相葉

お前をマサキくんなんて呼ぶ時も

彼女はこんな風に、はにかんで見せるの?






お前、こんなのに騙されてんじゃねぇよ





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