第11章 世界にひとつだけの花
【リアル】
お母さんは
僕の顔を見る度に
『生まなきゃ良かった』
『お前さえ生まれて来なければ』
何度も何度も、そう言いました
お父さんは
『俺の子じゃない』
『顔も見たくない』
そう言って、僕を殴りました
それは、僕の日常で当たり前の事だったから
そう言われた時は
『ごめんなさい』と
何度も何度も謝りました
僕が悪い子だから、お父さんもお母さんも
僕が嫌いだそうです
だから僕は、お父さんとお母さんにこれ以上嫌われないように
勉強も運動も頑張りました
いつも笑顔でいる事は、素晴らしい事だと
遊びに行った教会の神父様が教えてくれたので
僕はいつでも
笑顔でいることにしました
だけど
そんな僕を
お父さんは
『気持ち悪い』『当て付けか』と……
前よりも、もっと殴るようになりました
お母さんは、僕が人形みたいに動かなくなっても
何にも、言ってくれませんでした
その時、僕の頬に、
暖かいものが伝うのに気付いて
ああ…
僕は泣いていたのだと知りました
泣いたりする悪い子だから、お母さんは僕を抱きしめてくれなかったのだと
僕はその日から、
笑うことと泣くことを止めました
殴り書きのように書いた『自分史』と言う宿題
ドン引きするクラスメートと
表向きだけの正義感で、お節介を妬きたがる担任が浮かんだ
……労力の無駄だ
どうして僕は、わざわざそれを書いたのか
それを破り捨て、新しい用紙に
慣れた嘘を綴った
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