第11章 世界にひとつだけの花
【Days】
公園にある時計が5時になったから、ウチに帰った
カギを出して、ドアをあけると
ウチの中はまっくらで、だれもいない
電気をつけると、ちらかった部屋は朝のまんまだった
帰る途中で
カレーのいいにおいがしたから
おなかがぐうぐう鳴って、お腹を押さえた
だけど、ウチの中は
お母さんの香水のニオイと
お父さんのタバコのニオイしかしない
ランドセルを肩から降ろして、
給食で残しておいたパンを取り出した
ホントは朝ごはんにするはずだったんだけど、
がまん出来なくてかじった
うす暗い部屋は
すごく静か
パンを食べたのに、まだ足りないって、おなかがキュウキュウなってる
ごまかしてたくても
テレビをつけたら、お父さんにおこられる
蛇口の水をがぶがぶ飲んで、それでもお腹はペコペコで……
なにかしようと考えて、
しゅくだいがあったのを思い出した
さんすうのプリントが終わったら
あとは、えにっき
今日は、ウチに帰ってから、お母さんのおてつだいをしました
僕がカレーライスを食べたいと言ったので、お母さんがいっしょに作ろうと言いました
にんじんを切ったり、じゃがいもを切ったりしました
仕事から帰って来たお父さんが、びっくりして
「えらいな」ってほめてくれました
カレーライスはとてもおいしかったです
先生はきっと
明日もハナマルをくれるだろう
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