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真昼の月 真夜中の太陽 【気象系BL】

第10章 夢見る頃を過ぎても


【月虹 2】








バスルームを出て、余りにシンとした空間に、


ちょっと緊張しながら、丸まった背中の見えるベッドを見下ろした





拍子抜け……っつうか、


そりゃ……そうなんだけど……


別に、ヤリに来たワケでもなければ、好き同士でもないんだし








微かな寝息を立てる、雅紀の横に腰を下ろして、

その寝顔を、じっと見つめた




あどけなさの残る寝顔に、思わず、手を伸ばすと……





「なっ!」





寝ていたハズの雅紀が、パチッと瞼を開き、真っ直ぐに俺を見てる





だけど……黙ったまんま何も言わなくて






シンと静まり返った部屋とは裏腹に


鼓動は激しさを増してく





同じベッドの上


手を伸ばせば


簡単に届く




「ニノ…」





掠れた声で、俺を呼ぶ


鼻に掛かった優しい声


真っ直ぐな黒い瞳が俺を捉える




クラクラと眩暈を起こしそうで


身体の奥から熱が込み上げてく




伸ばして、触れた指先



覗いた手首には、揃って赤い痣が見えた





「なんか…さ……テレちゃうね」





はにかんだ笑顔が、ふわりと漏れ……


俺もつられて……笑った





だけど、


その笑顔が、フッ…、と途切れて


雅紀の表情が、クシャッと崩れた








「……ッ」





耐えきれなくなったように、


雅紀の瞳に、涙が溢れる


声を堪えて、唇を噛んだその仕草が堪らなくて




その瞬間


自然と身体が動いて


雅紀の身体を抱き締めてた






見つめて、

頬に伝う涙に唇を寄せる




………わかった気がした


雅紀の気持ちが


言葉なんかなくても、もしかしたら、俺と同じなんじゃないかって……








だけど


それは、あまりに儚くて


これ以上触れると、壊れそうで


俺よりか、お前のがデカいのにな





抱き締めた腕に力を込めると


雅紀の腕が、俺の腰に回され


丸くなった身体が胸ん中に納まった





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