第10章 夢見る頃を過ぎても
【月虹】
ーニノsideー
状況的に、違和感有り過ぎるのと照れ臭いので
ろくに顔も合わせず、雅紀を無理矢理先に、シャワーを浴びに行かせた
聞こえる水音に、異常反応しながら
ベッドが占領する、やけにヤラシイ部屋を見回す
雅紀の後ろにピッタリくっ付いて、カップルを装ってみたけど……
時代遅れのラブホのせいか、普通に入れたし
(逆に恥かいたわ……)
ベッドにとりあえず座って……
ふたつ並んだ、ショッキングピンクのハート型クッションに苦笑い
こんな昭和なトコ、オシノビカップルくらいしか入んないでしょ(笑)
だけど、
まぁ……俺らにはピッタリかもな
"ガチャ………"
バスルームのドアの音に、心臓が跳ねて
自分らしくない動揺に、正直焦る
「ニノ……お先。ゴメンね、先に使わせて貰っちゃって……」
「いや……じゃ、俺も……」
「うん」
平静を装って、雅紀の横をすり抜けたけど……
やべえ……
抑えきれない自分の鼓動に戸惑った
なに、雅紀のバスローブ姿なんかにドキッとしてんだ俺
自分が自分じゃないみたいで、
ギュウ…、と胸が苦しくなった
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