第10章 夢見る頃を過ぎても
【夢見る頃を過ぎても】
ー雅紀sideー
指名してくれた客に望まれるままに
VIPルームの照明の下
数人に囲まれ、戯れが始まる
数時間前の、しょーちゃんとの行為を繰り返してるみたいだった
だけど……
感情のない今では、感じ方も違う
割り切った仕事だ
上手く媚びて淫らに身体を拓けばいい
そう、覚悟してるのに
男達に触れられるたびに、身体が強張り……
初めての時みたいに震えてた
そんな俺を、容赦なく攻め、潤わない身体を無理矢理高めようとする
抵抗もしないし、堕ちる覚悟もあるのに……
俺の身体を後ろから抱き締めるように固定し、
開かせた身体に、別のヤツが顔を埋める
「はっ……んっ……」
早く、行為に没頭したくて
意識を飛ばしてしまいたくて
ワザと身体に負担が掛かるよう、早急に繋がりを求める
「も…、イレて……いっ…から」
だけど…、男達は客が喜ぶように、
俺の言葉を無視し、スーツを乱したまま
焦らす行為だけを、延々と続ける
中途半端に高められた身体は
まるで、俺自身みたいで
それが耐えられなくて
何度も必死で、懇願する
「お願いっ…!ちょうだいっ…!」
壊して欲しいと……
抑えようのない感情をどうにかして欲しいと……
「はや…くっ…!」
「もうやめろっ!!」
宙に伸ばした掌
朦朧とした意識の中響いた声
ライトの光で、誰だか認識出来なくて……
それを辿る間もなく、近付く人影
ドクンドクンと刻む鼓動に身体が付いて行かず
嫌な予感だけが押し寄せる
……動けないまま、視界に飛び込んで来た姿を見つめた
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