第10章 夢見る頃を過ぎても
【アルクアラウンド】
ー雅紀sideー
気付いた時には……
しょーちゃんの姿は、どこにもなくて
身体を起こそうとすると、全身に痛みが走り、気怠さで力が入らなかった
埋められてた違和感
ハッキリと残る手首の痕
どれもが、しょーちゃんと繋がってた証で
ニノの為だって、拓いた身体だったけど……
泣きながら揺さぶられる内に……
泣いてないしょーちゃんの方が、辛い顔をしていて……
しょーちゃんの背負った闇に気づいて……
俺は涙が止まらなくなった
どうして、こんな辛い思いをしなくちゃならないんだろ
ニノも、しょーちゃんも
もしも、あの時この手が自由だったら
きっと俺は、しょーちゃんを抱き締めていたと思う
ニノの為じゃなく
目の前の、不器用なしょーちゃん自身を……
結局、俺は
ニノもしょーちゃんも救えない
どうしようもない自分に吐き気がした
何も浮かばない俺は、ホントどうしようもない
ゆっくりと身体を起こし、シャツに腕を通す
せめて…ふたりの痛みだけでも刻みたくて、
そのまま、空き教室を後にすると
俺が居るべき場所に向かった
巻き込まれた、とか
しょーちゃんのせいだ、とか
それだけが、道を外れた理由じゃないのに
どこか人任せで、曖昧で
自分で踏み込んだ道なのに
それくらい、自分で背負えばいいんだ
不安定なココロを、紛らわしたいのもあって、
すべてをシャワーで流し……
黒いスーツを纏うと、鏡の中の自分を見つめた
情けない泣きそうな顔が、一瞬見え隠れして
パンっと両頬を叩く
俺なんか……
地獄へ堕ちてしまえばいい……
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