第10章 夢見る頃を過ぎても
【儚き想い】
-櫻井sideー
気持ちなんか存在しない
二宮への、当て付けだ
ただ、それだけ
悲痛な声を上げる雅紀を執拗に何度も揺さぶって……中に全て吐き出した
俺で汚される身体が、自分に染められるようで
それは、俺を少しだけ錯覚させた
力の抜けた、されるがままの身体
華奢で綺麗な背中はシットリと汗ばんで
オトコだなんて関係ないと思わせる色香を放つ
バカみたいに夢中で雅紀の身体に欲をぶつけ、繋がった
もう……
終焉だ
すべてを終わりにしよう
雅紀は意識を失い、机に身体を預ける
拘束した手首を解いてやると
鬱血し、その痛々しい痕でさえ、
愛しいと思えた
学ランを身体に掛け……
椅子に座り、顔を覗く
伏せられた瞳
濡れた睫毛
涙の跡が残る頬
「しょ……ちゃ…ん……」
微かに動いた唇が俺を呼ぶ
何とも言えない感覚に、胸が震える
お前を巻き込んだのは俺だ
何かに気付いてた癖に、どうして自ら飛び込んだ?
バカなお前も、これでちゃんとわかっただろ?
メチャクチャに犯して、お前がどれだけ泣いても俺は止めなかった
これに懲りて、二度と俺に笑顔なんか見せるな
だけど、
雅紀の温度が残るうちは、
目を覚まさないうちは、
コイツの下手な演技に付き合ってやろう
熱が冷めたら、
虚しさしか残らない事は、……ちゃんとわかってる
涙を指先で拭い、
キスをすると
"コイビト"に別れを告げた
「ゴメンな……雅紀
最初から、直接復讐したら良かったんだ」
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