第1章 終わりの始まり
【衝動】
「今日はさっ、ニノが焼きそばパン奢ってくれたし!」
「メロンパンもな」
「そう!だから俺、今日のバイトも頑張れそう」
帰り際、下駄箱で会った相葉は、調子いい言葉を並べる
「頑張って稼いで、次は奢れよ」
「うん」
肩を並べて 正面玄関を後にする
校門までの距離を会話もなく進む
不思議と間が持つのな‥‥
‥‥コイツとは
「今日は会えるかなぁ。‥‥昨日はね~会えなかったんだ‥‥」
真っ直ぐに前を向いたまま
相葉の頬が緩んだ
‥‥いつも、考えてんだ?
アノコのこと
「今日はツイてるからね~♪俺」
昨日
俺会ったよ
お前の好きな子と
相葉の横顔を見上げて ……気づく
まただ。なんだ?このイラつきは‥‥
「じゃ~‥‥俺、急がなきゃ!バイバイ、ニノ!」
「おぅ」
アイツの背中が遠退き、見えなくなる
くるりと踵を返し、ウチに向かって歩き始めた
だけど 、自分でもわからない
数歩進んだ後、立ち止まり‥‥
相葉が見えなくなった方向に、歩き出す
わからない
わからないけど
体が勝手に動いたんだ
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