第10章 夢見る頃を過ぎても
【アイデンティティ】
「我慢すんなよ」
「ぁ……っ、ふ…っ、ああっ、」
堪えても漏れる声
身体を撫で回した掌が下へ下へと移動し
ベルトがカチャカチャと音を立てる
器用に抜かれたのがわかった
「しょ‥‥ちゃんっ…!」
身体に力が入り、上体を起こそうとすると
鋭い視線が、俺を動けなくして抵抗出来ない
しょーちゃんは…気付いてるんだ
もしかしたら……全部?
「雅紀は可愛いね」
「っ…」
「‥‥同じだな」
同じ‥‥?
誰のこと……言ってる?
どうしてしょーちゃんは、そんなにニノを憎んでるの?
わからないけど
しょーちゃんが俺を思い通りにすることで
ニノへの行為を止めてくれるなら…
意識が、俺に向けられるなら
それでいいよ
「雅紀……」
しょーちゃんの腕を自ら掴み、引き寄せて
媚びるように見つめて囁いた
「‥‥シよ?」
……ただ、俺だけを見て欲しくて
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