第10章 夢見る頃を過ぎても
【空き教室】
ー雅紀sideー
結局、今日もニノは学校を休んだ
そして、しょーちゃんも‥‥何だか様子がオカシイ
珍しく遅刻して来たし、
……顔色だって悪いよね?
「しょーちゃん?ねぇ、大丈夫?」
昼休みに入っても、黙って座ったまんまだしさ
何か……あった?
「具合悪そうだし……そだ!保健室行こっか!‥‥あ!」
そう言っておきながら、保健のセンセの事を思い出して、アタフタする俺
ダメだ。あそこは危険だよね
しょーちゃん、保健のセンセに狙われちゃう
「えっ…‥と、」
「‥‥雅紀」
俺の様子に見かねてかしょーちゃんは、……急に話し出した
「空き教室行こうか…ちょっと休みたいし」
「そか。…だね、あそこなら、ゆっくり出来るよね」
しょーちゃんの提案に頷いて、パンの袋を手に、2人で教室を出た
下の階にある空き教室に向かう途中
階段脇の、あのトイレに差し掛かって……思わず目を背ける
意識したくなくっても、
あの時の会話や卑猥な声が、余計に思い出された
早足になりながら、階段を駆け下り、
しょーちゃんより先に……教室に入った
空き教室は、
元々閉鎖されてる場所で
掛けられた錠前が壊れてるのに気付いてから、俺とニノが内緒で使い始めた
だから、格好の休憩室になったここは、いくら学年が変わって階が違っても、俺ら以外使う人はいないはずだ
後ろの方に寄せられた机や椅子は、うっすらと埃が被っていて……
それを手で払って椅子に座ると
しょーちゃんも隣に座った
だけど、渡したパンを開けようともしない
俯いたしょーちゃんは、やっぱり顔色が悪くて…思わず立ち上がり、覗き込むと
……ゆっくりと頭を擡げ、しょーちゃんの瞳が俺を捉えた
酷く疲れたような、虚ろな眼差し
すると、
固まって動けなくなった俺の腕をいきなり掴んだ
ギリギリと力が込められ、ますます動けない
そして、そのまま立ち上がると
俺の体を机に押さえつけ、
上から見下ろした
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