第10章 夢見る頃を過ぎても
【スパイダー】
ー櫻井sideー
空席を見つめながら、パンを頬張る雅紀
二宮は今日で3日続けて学校を休んでる
俺が……犯した次の日からだ
身体が動かないせいだとばかり思ってたけど、
3日だろ…?
"風邪"って事になってるけど、
雅紀と俺の事を見てられなくなったか……?
まさかな……そんなヤワじゃねぇだろ
だけど アイツなら、
もしかしたら何かを企んでるかも知れない
考え込んで黙った俺を、
雅紀が心配そうに覗き込んだ
「どしたの?むずかしい顔して~」
「あ…、イヤ。二宮君、大丈夫かなって…」
「だよね…気になるよね」
そう応えながら、心配そうな顔をしてる……けどさ
二宮も気になるけど……
雅紀の動向にも、疑いを持たなくちゃいけないと思っていたから……
横目で、雅紀の様子を伺ってた
いつもと変わらない……違う
ひとつ、気になった
「あ…そうだ!しょーちゃん、母ちゃんの退院がね決まったんだ」
「まじ?良かったじゃん」
「うん。いろいろありがとね……ゆうの事とかさ」
「大したことしてないでしょ」
俺の言葉に笑う姿は、気のせいかとも思ったけど
コイツなら、
『ニノのお見舞い行こーよ!』
……なんて、いつもなら大騒ぎしない?
なんで何も言わない?
前に、1日休んだだけでも騒いでたよな?
やっぱり……変だ
一度気になると、考えを巡らせ行き着いた答えは
やっぱり気のせいなんかじゃなくて……
そうだとしたら、俺への告白も納得がいく
二宮も雅紀も呆れるほど想いあってんだ
ただ……
雅紀は、ドコまで気付いてんだ?
ソコ、大事だよね
やっぱり俺は、誰にも気を許すなんて出来ない
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