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真昼の月 真夜中の太陽 【気象系BL】

第10章 夢見る頃を過ぎても


【yesterday and tomorrow】




ーニノsideー






放課後の教室

それぞれに散り行き…次第に落ち着く中

帰り支度を始めた俺の机の前に、人影が映った

顔を上げると、そこには…




「……雅紀?」




落ち着かない様子の雅紀を、少し気になりながら……





「……なに?」

「うん。…あのね」


雅紀の少し後ろに、櫻井が見えて、

嫌な予感がした

クスリと口端で笑い、教室を出て行く





「俺ね、あの…さ

しょーちゃんと……」





言いにくそうな、困った顔


だけど、言わなきゃって、必死なのが伝わって……


雅紀の緊張が、俺にも伝染る





「……付き合うことにしたんだ」






それでも真っ直ぐな眼差しが、俺の心にズシンと響く





「……そ、良かったじゃん」





『だから?』みたいな物言いで、目線を合わせる

オトコ相手に何言ってんだよ……なんてセリフが、普通なら出るんだろうけど

俺らの間じゃ出ない、なんてさ

その時点でどっかイカレてんな






「うん。だから、そうゆうことだから」

「……」

「しょーちゃんと寄り道して帰るね」

「そっか。じゃな」





そうゆうこと‥‥か

だから、邪魔すんなって言いたいのね

雅紀の背中を見送りながら


複雑な思いと、どうしようもない切なさが、胸を締め付けた


付き合う、だなんて
櫻井の俺に対する当て付けとしか思えない


それでも、


雅紀は大好きな"しょーちゃん"と付き合えるのを
俺に報告するくらい喜んでる訳で


それを『止めとけ』なんて、俺が言ってどうする?


アイツは望み通り、櫻井の傍にいれるのに……


雅紀にとって、邪魔者は俺だ


俺がやらなきゃいけないのは


櫻井の復讐を俺だけに向ける事だけだ


だから俺も、

動かなくちゃなって‥‥





"何か"が起こる前に






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