第10章 夢見る頃を過ぎても
【久遠の理想】
ー雅紀sideー
しょーちゃんと肩を並べて歩きながら、
星空をずっと眺めてた
昔、必死になって探した流れ星
「あっ!」って思った時には消えてんだよね
どんな願い事をするつもりだったのかは忘れてしまったけど
しょーちゃんは……
昔から知ってるままの綺麗な横顔で、 真っ直ぐに前を見てる
いつも優しくて、大好きだよ
ずっとずっとそうだったから、やっぱりすぐに嫌いにはなれないよ
もちろん、許せない俺だっているし、ニノを想ったら苦しい
だけど…しょーちゃんが背負ってるモノは何?
「流れ星なんて、見たことないわ。
願い事、雅紀は叶えたい事でもあんの?」
しょーちゃんが俺を見て
そう尋ねた
「あるよ」
……一番叶えたいのはね?
みんなが、"ホントに"笑えたらいいな、って思ったんだ
俺は、笑ってれば
楽しいことあるよって思うようにしてるけど
しょーちゃんもニノも、
笑うの辛そうなんだもん
見てて、苦しいよ
みんなが幸せになるのは、無理なのかな
そんなの、甘いのかな
「雅紀、もうここでいいよ」
「あ…うん」
だけど、
どうしたらいいかなんて……
何が正しいかなんて……
何にもわかんなくて
笑顔を作って、バイバイってした俺に
しょーちゃんも笑ってくれた
「好きだって言うの、ホントなんだよな?
二宮じゃなく、俺だって」
「…うん」
「じゃあ…さ?
お前から二宮に言ってくれる?
俺が好きだから、付き合う事にしたって」
しょーちゃん……
やっぱり、疑ってるんだよね?
「わかった。明日、言うね」
そう返事をするとしょーちゃんは笑って、
……背中を向けた
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