第10章 夢見る頃を過ぎても
【冷たい瞳】
ーニノsideー
煙草を吸う横顔を見つめながら、
ユウさんのお気に入りのシャンパンを注ぐ
何か言われたわけでもないのに
張り詰めた空気で、自然と緊張していた
ユウさんからの連絡がないのをいいことに、部屋も留守にする事が多かったし
雅紀や櫻井に気を取られ、金を稼ぐのにも必死だったせいもあって
本来なら、ユウさんに飼われてる俺は
ひたすら従順にご主人様の帰りを待たなくちゃならないのに……
わざわざ俺を指名する事からしても
きっと俺が不在の時、マンションに来ていたのだろう
「なんて顔してるの?」
フッと笑って、俯き加減な俺の顎を上げた、その瞳は……やっぱり冷たい
「最近、忙しいみたいだね?」
「そんなことないよ」
「翔と会ってるの?」
「そりゃ、クラスメートだし、知ってるよね?
イロイロ」
元々、今起きてる出来事はユウさんと櫻井の緻密な計画が呼び起こしたもので
ただ一見、親子で手を組んだような一連の流れが、全く別で行われていたというのが……
俺の中で違和感になってる
俺への復讐の為に、雅紀を利用した櫻井
だけど同時に、ユウさんも雅紀をこの世界に巻き込んだ
その理由が……考えれば考えるほど、櫻井より浅はかで……
俺は、目の前にいるユウさんを見つめながら、複雑な色を隠せなかった
「カズは、翔と寝たの?」
「………」
そのひと言で
あなたの全てがわかるような気がするよ
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