第10章 夢見る頃を過ぎても
【plastics soul】
ー櫻井sideー
「うわー翔兄っ」
顔を覗かせた途端、満面の笑顔になるゆう
頭を撫で、来る途中に買ったシュークリームの箱を渡した
人懐っこい笑顔は兄譲りだと思いながら、部屋に上がる
「うちに来んのに、お土産なんかいーのに」
「俺も甘いもん食べたくなったんだよ」
「……ありがと」
相変わらず殺伐とした部屋
母親不在の相葉家は、
男2人でなんとか生活してるけど……やっぱり限界あるよな
「しょーちゃん、今日ご飯食べてく?」
「……え?お前作んの?」
「そーだよ?」
「……だよな」
このまま帰ったら、なんの意味もないしな
「お前も大変だしさ、デリバリーしない?」
「いいよいいよ。冷蔵庫のもんで、ササッと作るよ?」
「……」←ますます心配
「じゃ、しょーちゃんはゆうの勉強見てあげてて♪ねっ♪」
俺の背中を押してリビングの椅子に座らす
鼻歌歌いながら、自分はキッチンに消えてった
「……」
いつもと、変わんないよな
「翔兄っ!シュークリーム、今食べてもいい?」
「晩飯食えんのか?大丈夫?
兄ちゃんメシ作ってくれてるだろ」
「あー…、雅兄のメシ…今日はイケるかな。空腹のがいっか…」
「……まじ?」
不安気な俺を知ってか知らずか……
捲り上げた暖簾から、
雅紀が笑顔を見せた
「超イイカンジ!納豆チャーハン!楽しみにしてて♪」
警戒心を常に抱いて
俺は……マトモなモノさえ斜めに見てるだけなのか
イヤ、……そんな事ないよな
雅紀は間違いなく二宮を想ってる
じゃなきゃ、身体を売ったりしない
自分を犠牲にしない
好きだから、出来るんだ
"トモダチ"くらいじゃ、無理だろ
「おまたせっ♪出来たよ~」
満面の笑顔で、俺の視界に飛び込んできた
雅紀、 オマエなら?
……どうなんだよ
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