第9章 BAD KIDS
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「優しさで言ってやってんのにね?」
ズルッと指を抜かれ、
圧迫された身体がラクになった途端
櫻井がチャックを下ろすのがわかった
抱え込まれた身体
充てがわれた塊で、一気に串刺しにされる
自分の体重が掛かり、
下から容赦なく突き上げる
「うっ‥‥は…確かに‥‥男のが、締まりいいな」
「はっ…んっ、は…ぁ…」
ヤラシイ濡れた声
ぶつかり合う肌の音と繋がる卑猥な粘着音
耳を塞ぎたくなるような 空間に吐き気がする
何もかも覚悟の上といいつつ、本意ではない行為は
やっぱり屈辱的で苦痛だった
「しょーもない男に惚れて、金貢いでダメになる女みたいだな」
「‥‥あ?」
「だろ?…その気なくてもさ…やってることはまんまだろ?」
「……っ!」
動きを緩める事なく、身体は揺さぶられたまま
切れ切れになりそうな意識を、櫻井の言葉が保たせる
「知らない分、タチ悪いのかもね。
…可哀想になぁ、俺の言いなりになってんのに」
「だからっ!…関係ねぇっ…」
俺が怒鳴り振り返ると、
櫻井は力任せに塊を掴んだ
「いっ…!」
「元々は、偽の借用書作って、追い込んだ俺のせいか(笑)」
「だから!」
「やだよ?お前に一番効く方法なのに」
櫻井が憎い
だけど、
同時に自分も許せなかった
雅紀は何も悪くない
過去に捕らわれ、
目的を達する為なら、自分の未来さえ捨ててもいいと思ってた
櫻井に従いながら、気付いたんだ
大事な存在を傷つけて、柵に捕らわれた俺自身に
何の意味があるんだろう
「櫻井、な…復讐ってさ
お前は俺がどうなったら気が済むワケ?」
散々、突き上げ…
俺の中では爆ぜた後、
櫻井は、何事もなかったかのように
制服を正し、個室を出ようとしてた
気怠い身体を無理矢理奮い立たせ、平静を装う
「俺が、死ねばいいの?」
一瞬の沈黙
櫻井は何も言わず、
個室を出てった
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