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真昼の月 真夜中の太陽 【気象系BL】

第9章 BAD KIDS


【花霞の君】



ー雅紀sideー





『バイバイ』って、手を振ったら


ニノもしょーちゃんも、
『じゃあな』って、笑って見送ってくれた


ひとりで帰りながら、
ぐるぐるぐるぐる、いろんな事考えて


ピタリと足を止める……








花が散った桜の木を眺め


花びらが風に舞う中


ニノと久しぶりに会った時の事を思い出す






どうしてニノは、
泣きそうな顔で俺を見てたの?




消えそうに儚くて、

だから慌てて、名前を呼んだの


ニノは何にも言わず、ひとりで抱え込んで……


もしかしてまだ、俺に隠してる事、あるんじゃないの?









雑踏の中

流れに逆らい、来た道を戻る

胸に閊えるままの違和感と悪い予感









はぁはぁ息を弾ませながら飛び込んだ教室には、誰の姿もなかった


窓の外では、
野球部らしい、大きな声が響いてる


一瞬、外を眺め……


また、教室を見渡して……気づいた






カバン


しょーちゃんのだ


机に掛けられたままのカバンがある事に気づく


まだ、学校にいる……?


どこに……行ったんだろ……


教室を出て、宛もなく廊下を進む








ふと頭に浮かんだ"空き教室"


もしかして、と思って
下の階にあるその場所へ向かった


階段を降りようと歩き出し……
その向かい側にある、あんまり利用されないトイレ


妙に気になって、引き寄せられるように、そこを覗いた





……誰かいるわけないか



(………ガタン……)






確かに聞こえた物音に……もう一度、振り返り


耳を……澄ませる







『っんぁ…ぁ……はっ』



声……?



『感じてンの?』



聞き覚えのある低い声……しょ、う…ちゃん…?




ドクドクと急に鼓動が早まって


自然と息を潜めた





『ほらっ、イイんだろ?

イイって言えよ。二宮』




……ニノ?




『雅紀って呼んでもいいよ?……なぁ?』







………俺?


どういう……こと?


わけわかんなくて……



口元を抑えたまま、聞こえる声に、黙って耳を傾けた







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