第9章 BAD KIDS
【澱】
ー櫻井sideー
「……ふ~ん……えらく殺風景だな」
モノトーンで統一された部屋
最小限しかない家具
コイツらしいって言ったらそうなんだけど
父さんの部屋とよく似た雰囲気に、また虫唾が走る
「まぁ、お前の場合、ベッドさえあればいいもんな」
冷蔵庫を開け、ペットボトルを傾ける二宮は
俺の言葉なんかまるで聞いちゃいない
「なぁ…?最近父さんはここに来てんの?」
相変わらず無視
ドサッとソファーに身を沈め、
リモコンを手にすると、テレビの電源を入れた
静かな部屋が、一瞬で賑やかになる
「雅紀、……泊まったことあるよな?」
二宮の横顔にそう放つと、
考え込むように、額に手のひらを当て
……瞳だけで、俺を見た
「ソノコトも知ってんだ?」
「当然」
雅紀の好きな子まで寝取ってんだもんな
なのに、友達だって、雨の中迎えに行って?
雅紀は、お前がそんなヤツだって疑いもしてないよ
俺が知ってるなんて思わなかった?
「……こんなとこまで来てさ?……何したいんだよ」
さすがに無視するワケにも行かなくなったか
「だから、言ってんじゃん?……シて見せろって」
雅紀を手に入れられなくても
嫌われるのは怖いよな
拒絶される辛さは、もう知ってるし…?
「見てどうすんだよ。……見たくねぇだろそんなの」
「……見たいんだって」
「……」
あの店じゃ、金積まれたら簡単だろ
それとも、この部屋だって関係なく出来んのかな
父さんに要求された事あるかもね
後は、
「普段からヤってんだろ?……雅紀を想像して」
ゆっくりとソファーに近付き、
黙ったままの二宮の顎を掴んだ
「ほら…早くヤれよ」
二宮を見下ろし、蔑んだ笑顔を浮かべる
顎で促すと、ヤツの指先が微かに動き……
まだ何の反応も見せないその場所に
掌を這わせ、
ゆっくりと、自慰を始めた
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