第9章 BAD KIDS
【astuto】
ー櫻井sideー
雅紀のあんな姿を見たお前は、
確かにショックだったよな
見たくなんかなかっただろ
だけど、そうさせた俺への怒りと自分への怒り
その怒りの中に、
たった1%でも、アイツの淫らな姿に魅入られた自分はいなかったか?
いなかったと言いきれる?
好きなら、欲しいと思ってる相手なら
その腕の中で、アンナ風に乱れさせたいって、思うだろ
「な?……それ想像してさ、ヤってみせてよ」
「なっ、!?」
「雅紀の為なら、何でもやれるよな?」
運転手に告げた行き先
父さんの店へ、もうすぐ着く
「ねぇ?…やっぱさ?引き返してくれないかな」
体を乗り出し、運転手に声を上げた
「どちらへ?」
「……そうだな」
チラリと二宮を見据え……
頭に思いついたのは
「俺、ニノのウチ、遊びに行きたいな」
「はっ…!?」
何度か、お前んちのマンションは調べに来た事あるからな
バックミラー越しに視線を送ると、
……的確に察し、車はUターンして、来た道を走り始める
「お前、なんの冗談だよ!?何で俺の」
「お前のウチって言っても、……父さんの名義だろ(笑)」
言葉を飲み込み、代わりに舌打ちして
二宮はまた、視線を逸らし、窓の外を眺めた
外観しか知らなかったその部屋
後を着いて、開けられたドアに、一歩足を踏み入れた
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