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真昼の月 真夜中の太陽 【気象系BL】

第9章 BAD KIDS


【凍える月】



ーニノsideー





嘘で固めた空間を

雅紀の存在で繋いでる




櫻井は笑顔を浮かべ

切り札の雅紀を守る





俺への復讐の為に




「んじゃね!…俺、先帰るね」



ヒラヒラお気楽に手を振って笑ってるけど


アイツもソコまでバカじゃない

何らかの違和感は感じるだろう



雅紀の背中を見送り、聞こえた咳払いに視線を合わすと



同時に俺を見た櫻井


少しの身長差なのに、今の関係には
明らかな主従関係が芽生えていて


高みから見下ろされてるような、威圧感を感じた






「今からまた頑張るのかな?」



ククッと鼻先で笑い、
「ね?」と俺に振るけど気付かないフリをした


だけど……

コイツを見張るったって、24時間監視してるわけにもいかない


それでも、放っておいたら……




雅紀がまた……


あのシーンが浮かんで、堪らなくなる



「櫻井、とにかく
……雅紀をクビにしてくれ。あんなトコで俺と鉢会ったら」


「別に俺は鉢合わせしても構わないよ?」

「……借金の事も、お前が絡んでんだろ?」

「だったら?」

「それだけでも何とかしてくれ。頼む」

「俺がお前の言いなりになるワケないでしょ。

雅紀には頑張って稼いで貰って、
……そしたら、借金だっていつかはなくなんじゃない?」







まるで他人事みたいに


そう放って……



「お前が望む事なら尚更聞くわけないじゃん」






冷たいセリフを笑顔で淡々と話す


端から見たら、仲のいい2人に見えるんだろうか


教室の隅で、俺らを見ながらクラスの女子が話してる







「お前は出勤しないの?」

「俺は‥‥」






『ニノ……俺ね……大丈夫だからね』









掠れたアイツの声が 胸に……響く







躊躇う俺に、鋭い櫻井は気付いてる


仕事に行く度、割り切れないもう1人の自分も存在し始めていて…


雅紀の言葉が胸を締め付ける





「行くんだろ?ウチの車で送ってやるよ」




拒否権なんてないんだ







俺が望まない方ばかりに、道は続いてる








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