第9章 BAD KIDS
【sakura drops】
ーニノsideー
満開の桜が咲き誇る
校門を抜け、校舎まで続く道を
鮮やかなピンクが、水色の空に映えていた
遠目にでもわかるその姿
朝の溢れる人の群れでも
ひとめで見つけ出せる
桜の花びらと
雅紀の柔らかい髪がふわりと揺れ風に踊る
俺に気付いた雅紀が、
花霞に佇み
まるで、出会った頃のように……
俺に笑ってくれるんだ
ああ
どうか
今、この瞬間を
俺に下さい
「ニノっ!」
雅紀が側に駆け寄ってくる
春休みの間会わなかっただけなのに
妙に照れくさくて、どんな顔したらいいのか困った
「おはよ~、ニノ!」
「おう」
並んだ雅紀の背が少し伸びた気がして
華奢な身体は相変わらずだけど、
鮮やかな桜の下にいるせいか、顔色もいいように思えた
無理する事……なかったよな?
俺が知らないとこで、櫻井に何もされてないよな?
聞きたい事はたくさんあるのに、
話せないことばっかだ
なぁ?
オマエは今、何を思ってんの?
「雅紀!二宮君!」
視線の先の櫻井が手を振って、近付いた俺達に嬉しそうに話した
「俺ら3人、クラス一緒だよ!……良かったね?」
端から見たら爽やかな笑顔も
俺にはそうは映らない
その表の顔でいる時のが、よっぽど黒く見えるよ
「よろしくね?二宮君」
「ああ。……よろしく」
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