第9章 BAD KIDS
ー櫻井sideー
「ナルホドね」
制服姿とは違う、黒いスーツにネクタイ締めて
俺が入店した途端、
わざとらしい笑顔を浮かべ、二宮が恭しく俺を迎えた
「確かに…雅紀の側にいれば間違いないな」
俺を見張るのと同じってワケね
アイツと鉢合うリスク背負って……大したもんだ
春休みに入ってからも、二宮の動きは調べさせてたけど
まさか雅紀同様、毎日出勤するとはな
「オマエだって、雅紀と会ったらマズイだろ」
個室に向かい合わせに座り、
俺を見る二宮は
睨む訳でも、冷めた訳でもない。
冷静に淡々と言葉を重ねた
俺が、雅紀を切り札にしてるのを逆手に取ったわけね
「そうだね。まだ早いかな」
「今日は何しに来たんだよ」
「ペットの様子見に?……だって、アイツ俺んだもん」
終始ポーカーフェイスだった二宮の顔色が一瞬で変わった
「オマエとユウさんは、組んで…雅紀を?」
・
父さんと俺が組んで、雅紀を陥れた……
すべては二宮の為に
目的は同じだ
ただ、理由が違う
黙り込んだまま、俺の言葉を待つけど
二宮、お前は父さんの事、本気でわかった気でいるのか
「父さん、雅紀の事気に入ってたみたいだよ。
だから、お前と同じに囲おうとした」
「……」
「俺は偶然にも?お前が好きな奴を父さんが躾てたから、
譲って貰ったんだ……それだけ」
「それだけって!アイツは物じゃねぇよ」
低い声に熱が籠もる
俺を殴りたいだろうな
二宮の瞳に、優等生の俺は存在しない
無表情の俺が、映ってる
・