第9章 BAD KIDS
【蒼い時刻 2】
昼休みの空き教室
あの日から二宮は顔を出さない
雅紀は、とっくに食べ終えたパンの包みを握りしめたまま
窓の外を眺めてた
俺は、時折それを見ながら、
読みかけの文庫本に目線を戻す
気の抜けた様子は、糸の切れたマリオネットみたいだな
側にいないと、アイツが恋しいんだろ
アイツの事ばっか、考えんだろ?
ぼんやりしてた雅紀が、俺に振り返りもせず、
まるで独り言みたいに話し出す
「‥‥たぶん、そうなんだと思う」
「え?」
「しょーちゃんに言われて気づいたんだ
……好きだよ、俺」
……やっと、気付いた?
ホント、世話が妬けんだから
その方が、断然面白くなる
雅紀の背中を見つめながら
読み終えたばかりのページに、ブックマーカーを挟んだ
これから忙しくなる
続きは当分読めそうにないからね
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