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真昼の月 真夜中の太陽 【気象系BL】

第9章 BAD KIDS


【俺しか知らない】







「やっぱウマイね。焼きそばパン!」



ハシャいでパンを頬張る雅紀を、俺と二宮で黙って見守り


食べ終わったのを見計らってから、話し始めた




「オマエさぁ?バイト辞めた?」




軽い口調は、重くならないようにと、二宮の思いやりだとわかる


わかりやすいくらい、表情を強張らせた雅紀


やっぱ、ヘタクソだって(笑)



「たまたまさ?バイト先の酒屋に行ったんだ」

「……そっか」

「なんかあった?」



ケータイを弄りながら、淡々と問う度に、雅紀の肩に力が入ってく




そして、観念したのか


口を開いた




「うん。少し前に辞めたんだ」

「そっか。…で?」

「あの…ね…?内緒だからね?

ウチにさ、お金が届くの。最初は気持ち悪いって思ってたんだけど‥‥」






雅紀の話に、目線を逸らす 二宮





「別に悪い事も起こんないし?ラッキーかなって。

もしかしたら神様が恵んでくれたのかも!」

「‥‥‥」

「だからね、酒屋のバイトなんか辞めてもいいかなって。
…だって、何にもしなくてもお金が手に入るんだよ?」





楽しそうに笑う雅紀を二宮が睨んでる

怒ってるだけじゃない





「毎日働くのバカみたいかなって…

なんなら新聞配達も辞めちゃおっかな」




雅紀の嘘に、ヤツは気付いてる







切ないか?

甘えて頼って欲しいだけなのにな

鈍感な雅紀は気付いてないよ







「ちょっと、雅紀!」





異常なテンションで喋る雅紀に
一応、俺らしいリアクションを取ろうと、肩を掴んだ


だけど‥‥




「ふざけんな!」




目の前の机を、思い切り二宮が蹴ると、


ドカッと勢い良く机が倒れ…
水を打ったようにシンと静まり返る


ふたりが見つめ合って、
そんな間にも耐えきれないように



「ふざけんなって言ってンだよッ!」






二宮の怒鳴り声が響く




悲痛な思いは届かない








二宮の気持ちなんて、雅紀は知らない


雅紀の気持ちも、二宮は知らない




知ってるのは、



俺だけだ




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