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真昼の月 真夜中の太陽 【気象系BL】

第9章 BAD KIDS


【神の御加護】




ー櫻井sideー




「しょーちゃんっ!?まじで、しょーちゃん??」



担任に連れられ、やって来た教室

自己紹介をした途端、

最後列に座ってたアイツは立ち上がり、そう叫んだ



「雅紀?」



驚いた顔して近づくと、
雅紀は頷き、嬉しそうに目尻にシワを寄せた



「しょーちゃんが同級生になるなんてね」

「俺も驚いたよ」



懐かしい中学時代の話に花を咲かせ

どうして転校してきたか

進級してないのは何故か


それらしい理由を話すと、
雅紀は疑う事もなく、黙って話を聞いてくれた




「いろいろ大変だったんだね」





昔っからそう

お気楽でなんも考えてなさそうなクセに、
お前は他人事でも、本気で心配してくれる

こういう所に、二宮も惹かれたのか




そう思った時

視界に写る、ひとりの影



廊下からこっちを見てる






体中の血が煮えくり返り
憎しみが込み上げ、怒りが溢れそうになる


だけど、
冷静に計画を進めてきたもうひとりの俺が


落ち着けと、感情だけに振り回されそうになる自分を宥めてくれる


廊下にいるアイツを指差し、雅紀の後を着いてアイツの前に立った






何度も写真で見た顔が、

調べ尽くした存在が今、目の前にいる




「ニノ、あのね!
うちのクラスに転入生来たって聞いてない?」

「あ~、なんか女子が騒いでたよーな?」

「なんと!俺の中学の先輩なんだよ」

「先輩?」







思い切り警戒心を抱いた目

気付かないフリして、笑顔を向けた



「初めまして。櫻井です。
‥‥入院してたから、ホントはみんなより年上なんだけど」

「世間ってセマイよね?
まさかしょーちゃんが同級生になるなんてさ~」

「複雑だな」

「嬉しいクセにぃ~」

「雅紀‥‥お前相変わらずだな」




二宮の視線が刺さるから、あえて親密な空気を醸し出した


キツくなった眼差しに、吹き出しそうになる







神様はきっと、俺の味方してくれんだな


大切な物を失ったから
代わりにすべてを、思い通りに進めてくれる




まるでそれは


指間からすり抜けた砂を
かき集めるかのように‥‥



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