第8章 僕達の失敗
【モノクローム】
ー雅紀sideー
遠くに聞こえるチャイムに、意識がぼんやりと呼び起こされる
薄く開いた目蓋に、
ザワザワと騒がしくなる教室の光景が映って…
やっと昼休みに入ったと気づいた
机に伏せてた頭を上げると
敷かれた腕はジンジンと痺れていて
右腕をさすりながら見渡した教室に、
…その姿がない事がわかると、ゆっくりと立ち上がった
カバンに押し込んでたコンビニ袋を手に取り、当たり前に教室を出る
「も…春かぁ」
窓から見渡せる桜の木にも、蕾らしいものが確認出来るし…
寒々しかった廊下も、 ずいぶん暖かくなった
中から聞こえる微かな物音に安心し
古いドアをギシギシいわせながら開いた
同時に向けられた視線に
思わず動きを止める
一時停止した場面みたいに、
みんな固まってるように見えた
いくつか無造作に並んだ机に
存在するふたりの影
「雅紀、起きたんだ?」
しょーちゃんが笑って俺を見てる
「…うん。起きた…」
笑いながら返事したけど、
意識は全部、
しょーちゃんの向かいにいるニノに向けられていた
・