第8章 僕達の失敗
【LAW&ORDER 1】
「せっかくあと少しで、涙の御対面だったのに?」
クスクス笑う櫻井が、
脚を組み直し
ソファーがギシッと音を立てた
VIPルームでの拘束時間が、残り少なくなった時、櫻井は楽しそうに時計を覗き込んだ
この場で対面するのは、どうしても避けたくて…
俺は無理矢理、櫻井の腕を掴み部屋を出る
予想と反して、
櫻井は特に何も言わず、俺の手を振り払う事もなかった
まるで俺が、そうする事をわかっていたかのように…
空いてた個室に連れ込み、向かい合わせに座った
気を抜いたら震えそうになる手と膝に、思いきり神経を集中させる
雅紀の姿と、
櫻井を殴り倒したいという衝動が、
一向に消せなくて
必死に自分の気持ちを抑え込む
いつもみたいに冷静になれない
「ま、お楽しみは、もうちょっと先でもいいかな」
落ち着け
落ち着くんだ
「櫻井、頼むから…
雅紀から手を引いてくれ。
俺が憎いってんなら、気が済むまで俺を好きにしたらいいだろ」
ソファーから降り、
床の上で勢い良く土下座すると
櫻井に目線を合わし、
必死に言葉を重ねた
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