第8章 僕達の失敗
【お強請り】
ー櫻井sideー
「欲しいものがあるんだ」
「…なに?」
「飼いたいんだー。ペット」
「それなら好きな…」
「もう選んでるよ。
父さん、たくさん飼ってるよね?それ、分けて欲しいんだ」
「なんのことだ」
「あ〜安心して?…ちゃんとエサは与えるし、躾だってキッチリやるよ」
「……」
「特注の首輪つけて、可愛がるからさぁ」
なに…難しい顔してんだよ
何でも俺の我が儘聞いてくれるじゃん
愛情がない代わりに、形だけでもってね
望んだモノは、何だって与えてくれる
「なんの話をしてる?」
「しらばっくれないでよ。イヌだよ!飼いたいんだって」
「マサキって言うんだけど、飼ってもいいでしょ」
口端でクスリと笑う、
ペット一匹くらい、分けてくれたらいいじゃん
「大事に飼うから」
だって、このイヌ飼ったら、もれなくもう一匹ついてくるよね?
雅紀を可愛がれば可愛いがるほど、
アイツはどんな顔すんのかな
俺はね
それを、目の前で見たいんだよ
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