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真昼の月 真夜中の太陽 【気象系BL】

第8章 僕達の失敗


【幕開け】






「どこに連れて行く気だ」


教室を出る前、櫻井はどこかに電話し
暫くして校門に向かうと、迎えの車が待っていた


黒塗りの高級車

櫻井にら促され、後部座席に並んで乗り込む


ヤツは俺と裏腹に楽しそうで…笑顔を浮かべたままだ





「前にさ?ペット飼ってるって話したの覚えてる?」

「……は?」

「今から会ってやってよ。可愛いんだから」

「お前、なに言ってんだ」









その笑顔が、ますます不安を煽る


嫌な空気のまま、車は走り続け


暗くなり始めた空の下




漸く停まった車に、もう一度櫻井を見た




「……なんのつもりだ?」






ユウさんとの事を知ってたのなら
俺がここで勤めてたのも把握済みか



「とりあえず降りてよ」



先に降りた櫻井が、相変わらず笑顔を向ける


イライラしながら、まだ
その行動の意味に気付けない俺は


舌打ちし、櫻井の後を着いて歩いた








見慣れた店内

顔見知りの黒服が、俺と櫻井を見比べて、

一瞬不思議な顔をした



まさか櫻井が、ユウさんの息子だったなんてな






「頼んだの、始まってる?」

「はい。電話があってから暫くしたら出勤して来たんで…」




黒服と話してた櫻井が、俺に振り返り顎で促す




店内の廊下を奥へと突き進んで行くと


時折すれ違う黒服や客が、
制服姿の俺らをチラチラ見てた


今さらそんな視線気にならないけど



ワントーン暗くなった照明の下


重いドアを自ら開け、『どうぞ』と招き入れる






コイツ一体どういうつもりだ?


仕方なく中に入り
櫻井の足音に追われるよう奥に進むと



VIPルームのドアを開けた




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