第8章 僕達の失敗
【super delicate】
まさかね
また、ふたりきりになるとはね
「どうしたの?んまいよ?」
昼休みになった途端
教室に飛び込んで来た櫻井は、
『奢るから、行こう』と無理矢理学食に誘って来た
雅紀がいない事からして、誘った理由はそれだとわかる
とりあえず箸を取り、親子丼を食べ始めた
「用件は気付いてると思うけどさ…、アイツと何かあった?」
「……」
頷きもせず、黙々と食べる俺に
櫻井は覚悟していたのか、熱心に話し続ける
「…ソバ、伸びんぞ」
「二宮君。俺、心配してんだよ?」
「…はぁ?わけわかんね」
丼を持ち上げ、残りをかき込み、テーブルに置いた
「ごっそーさん」
両手を揃え、櫻井にわざとらしい笑顔を見せる
「別になんもないよ?第一、
雅紀だって、お前とふたりのがいいでしょーよ」
「は?…何の話?」
俺が知らないと思ってか、
櫻井の偽善者じみた行動に頭がきた
いくら俺の気持ちを知らないからって、こんなお節介まっぴらゴメンだ
あの空き教室で、また友達ゴッコをしようって?
笑わせんな
それになんの意味があるんだよ
「うぜーよ櫻井。勝手にやっとけ」
これ以上、
もう傷付きたくない
雅紀を知って、
俺は自分が 、弱いんだって知った
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