第8章 僕達の失敗
【君と寂しい風になる】
ー雅紀sideー
「ご指名ありがとうございます。マサキです」
「ふふ…可愛いわね」
渡されたコートを受け取ると、
露出度の高い黒いドレス姿が露わになる
テレビなんかで見る、キャバ嬢?…みたい
実際そんなトコ行ったことないから、良くわかんないけど
「とりあえず飲もうかな♪」
「は、はいっ」
テーブルに置かれたシャンパングラスに、
ボトルを持ち上げ、ドボドボ注いだ
「ふふっ…入れすぎ(笑)…いいけどね」
「あ…ごめんなさい」
彼女は笑いながら、グラスを傾け、
ピンク色のシャンパンがシュワシュワと消えた
綺麗な首のラインと、
華奢な鎖骨がすげぇ色っぽくて
オトコの身体とは違う曲線に、思わず目が行く
いくつかこなした仕事だけど、実は女の人相手は初めてだった
だから、ドキドキして…
「まだ仕事慣れないのね?緊張してる」
「…スミマセン」
「せっかく今日は、
奉仕される側になりたかったのにな」
彼女の艶めいた唇が、ゆっくりと近付き
白い腕が首に回されると
…深く、重なってく
必死に舌を絡ませ…、応えたつもりでも
仕事上の勘か、年齢故の経験からか…
「もしかして君、オンナ知らない?」
整えられた綺麗な指先が、俺の唇をなぞり…
クイッとネクタイを引いた
「あのっ俺っ」
「…黙って?」
もう一度、柔らかい感触が唇に合わさり
同時にシャツのボタンを弾いた
開いた胸元に掌が差し込まれ、
胸の突起を探し当てると、優しく撫で上げられる
「バージン奪う時って、男はこんな気持ちなのかしらね」
「え…?」
「優しくしてあげたいのに、酷くしたくなっちゃう」
押し倒され、
楽しそうに笑って俺を見下ろす
「初めてなら、イジワルは可哀想ね?」
そう言って、優しく下半身に触れる
思わずビクンと跳ねると、
『…大丈夫』と、ゆっくりファスナーを下ろされた
押し寄せる快楽の波に流されそうで、
こんな優しい行為を受け入れてはダメだと、
いつまでも頭から離れない、ニノの姿がそう思わせる
「……酷くっ、シてくださいっ」
・