第8章 僕達の失敗
【哀調】
ホントは、朝直ぐにでも教室へ行って、雅紀を問い詰めようと思ってた
ゆうからのメールを貰った後も、何度も連絡しようか迷ったし‥‥
だけど、アイツなりの理由があるはずだって、冷静に話をしようと思い直した
向かった空き教室には、既に人の気配がしていて‥‥
建て付けの悪いドアを軋ませ、中を覗くと
机に伏せて眠っている雅紀がそこにいた
その隣の席に座ってたは、
俺に気付いて‥‥目で語り、苦笑いする
きっと、教室でも同じ様子だったのだろう
ゆっくりと近付き、上から見下ろした雅紀の背中は
小さくなった気がして
日に焼けて健康的だった肌色さえ、ひどくくすんで見えた
「遅刻して来たと思ったら、殆ど寝てる。
俺が起こして…引っ張って来たんだ」
櫻井が心配そうに雅紀を覗き、言葉を続けた
「顔色悪いし、痩せたよね?
…まさかさ、食べる物にも困ってんのかなって」
パンの入った袋を指差し……、
そこにはアイツの好きな焼きそばパンも入ってた
「起こして、食べさせなきゃって思うんだけど」
櫻井に頷き、雅紀の肩に触れると
記憶にあるより、明らかに華奢で‥‥
戸惑いながらも、肩を揺らし、声を掛けた
「雅紀!メシ!オマエの好きな焼きそばパン!
櫻井が買って来たってよ」
ン…、と声を漏らしながらも、なかなか起きない
「早く食わねーと、俺が食うからな~」
ふざけたように言って、揺さぶると
漸く、のろのろと顔を上げた
その顔は、やっぱり窶れていて
目が合った途端に、笑顔を見せた雅紀が
逆に痛々しく映った
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