第7章 僕が僕のすべて
【根拠なき自信】
「アンタさ、相変わらずギャップすげぇな」
「‥‥何の話?」
ひと仕事済んで、
シャワーを浴びた後、新しいシャツを羽織りながら声を掛けると
隣で既に服を着たサトシが、不思議顔で聞き返す
「だから、オンとオフだよ。違いすぎ(笑)」
「ああ…セックス?」
サラリと言うけど、そのヌケた顔と、さっきの顔じゃ別人だからね?
今日の仕事は、常連からの依頼で‥‥
お気に入りの俺らを絡ませたいってね
久しぶりにサトシとヤった。あの時より慣れたせいか、普通に楽しめた
無理なく声も出せたし、
正直、上から見下ろされて見つめられた時
ドキッとしたよ(笑)
「…カズナリさぁ?
相変わらず仕事熱心だし…ユウさんとは続いてんの?」
ボタンを留め、常備されたミネラルウォーターのペットボトルを傾ける
「アナタって、そーゆうの気にするヒト?…違うよね?」
「イヤ、ユウさんがやたら最近通うからさ?」
「そうなの?俺、会わねーな…」
まぁ、オーナーだし
来るのが当然っちゃあ、当然か
「あの新人、見込みあんのかな?
ユウさんが直接躾してるみたいなんだよね」
新人…?
そういや、そんな話したっけな
「何度かここで話したけどさ、
真っ直ぐな目で見てくんの。可愛いんだソイツ」
「ふーん」
「カズナリは会ったことない?」
「ねぇなぁ」
「あっ、リストに写真載ってたはず‥‥」
「別にいいって。興味ねぇよ」
ソファーの端に投げ出されてたリストを、サトシが手に取りパラパラ捲ってたのに
俺はソファーに転がり、ケータイゲームを始めた
「‥‥そう?」
智がリストをパタンと閉じ、元の位置にソレを放る
ユウさんの新しいお気に入りかな‥‥
俺だけじゃないってわかってるけどね?
何だろ…自信があるんだよ
ユウさんは、どこか俺に固執してる
最後に選ぶのは
‥‥結局、俺だってね
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