第7章 僕が僕のすべて
【first lesson 2】
「そう…もっと舌使って……上手いよ」
「ンンッ…ハァ…ッ」
撫でられる頭が、
グッと強く押さえられ
喉奥まで満たされた口内では、
上手く受け止められずに‥‥思わず咽せた
「コホッ…ンッ…ンン」
口端から零れるユウさんの欲を、腕でグイッと拭く
「あ…のっ、俺っ…えっと」
上手く出来なくて‥‥
すごく悪い事をしたみたいで‥‥
ユウさんの膝の下にしゃがみ込んだまま、身動き取れない
「良かったよ?そんな瞳しないの。…君は本当に可愛いね」
俺の唇に‥‥ユウさんの唇が触れた
優しい声で、
優しい言葉をくれるのに
ユウさんには、何故か温度を感じない
何故かは上手く説明出来ないけれど
「戸惑ってる?男同士だって?」
もちろん、…それもそうなんだけど
「ユウさんは、あの、その」
「ああ…、ソッチだったのかって?」
単純に、そこも気になってた
だって…ユウさんはニノのオジサンで…
まさか、こんな関係になるなんて……
服装を正したユウさんが
煙草に火を点け
俺を隣に座らせると
今まで、自分の事など一度も語らなかったのに、 懐かしむように昔話をしてくれた
きっと‥‥
この人には、俺みたいなガキじゃ、
到底想像もつかないような過去が、あるんだろうなって思う
「女性は苦手なんだ。…イヤ違うな。
生涯唯一だと思える女性には、…もう出会ったからね」
頷いて、黙って話を聞く俺に、微笑んでくれる
「だから、こうして君が相手してくれるなら、嬉しいんだけど」
「‥‥俺、そんな相手出来るほど」
何かを埋められるとは思えないし
‥‥上手く、出来ないし
「君が、いいんだよ。
カズの事だって、君とならいろいろ話せる」
ニノのこと‥‥
確かに俺にとっても、頼れるのはユウさんだけで‥‥
誰にだって言えることじゃない
「俺も、相談とかしていいですか?
ニノを辞めさせなきゃ…」
「‥‥そうだね」
「はい」
結局、店との約束は有耶無耶なままで‥‥
ユウさんが改めて話に行ってくれる事になった
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