第7章 僕が僕のすべて
【winter fall】
今日の仕事は予約が入ってなかったから
放課後、ゆうに会いに行けるなって
家に戻らず、そのまま行くつもりだったのに‥‥
ポケットのケータイが鳴り出し確認すると、ユウさんからのメールだった
「ユウ違いだな…」
そろそろ連絡あるかなとは思ってたけど‥‥
「なんかあった?」
隣を歩いてた雅紀と櫻井が揃って俺を見てる
「ワリィ!遅れて行くから。先行ってて」
「え?用事?」
「それなら無理しなくていいからね?」
「ああ」
ユウさんを無視するわけにはいかないしね
踵を返し、ふたりとは反対方向へと進んだ
部屋に帰ってからしばらくすると、ユウさんがやって来て
当たり前にワインを口にした後
唇を重ね合う
お互い知り尽くした身体を撫で回し、
流れるようなセックスをする
こんな普通なの、久しぶりだな‥‥
ケツに突っ込まれながら思う俺は、完全にキテんな…と、心ん中で笑った
裸のまま、うつ伏せでベッドに転がり
煙草を吸うユウさんを、ジッと見てた
「なに?」
視線に気付いたユウさんが、
俺の頭を撫でながら、笑う
「ご無沙汰な割にノーマルだなって」
「物足りないって?」
「まさか。最近、身体酷使してるから」
「正直だね。カズは(笑)」
煙草を灰皿に押し付け、
シャツのボタンを留めるユウさんを見て、
俺も起き上がると、
とりあえずシャワーを浴びようとベッドから降りた
「今から仕事?」
「今日はオヤスミ。ゆうに会いに行こうかなって」
「ゆう?」
「覚えてる?雅紀の弟」
「ゆうって言うんだ?」
同じ名前か…妬いちゃうな」
「よく言うよ。俺以外にも可愛い子いるんでしょ」
身支度を整えたユウさんは、
さっきまで俺相手に腰を振ってたなんて思えない
「ユウさんも今から会いに行くの?」
冗談っぽく言う俺に、ユウさんは頷いて笑った
「僕も、カズに妬いて貰えるように、
大事な子に会いに行ってくるよ」
「ふふ。行ってらっしゃい」
そのまま背中越しに、玄関のドアの音を聞いた
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