第7章 僕が僕のすべて
【a gear】
「雅紀?‥‥どした?」
昼休み
いつも無駄にテンションの高いオトコが
たった1つのおにぎりを、いつまでも手にしたままボンヤリしてる
思わず聞いた俺に、櫻井が話し出す
「授業中もボーっとしてたでしょ」
「そうだっけ~?」
我に返ったように、パクパク食べ始めるけど‥‥
なんか、変だなコイツ
「今日、予定空いてるからさ?
ゆうくんとこ、行こうと思ってんだけど?いいかな?」
「うんうん。来てやってー!ゆう喜ぶよ」
「‥‥櫻井、よく行ってんの?」
「ああ。ちょこちょこね。和兄に会いたいって言ってたよ」
最近、ゆうに会いに行く時間もなかったしな
アイツも悩んでたし、気になってんだけど‥‥
「今日、俺も行こうかな」
呟くように言ったセリフに
雅紀が急に、早口で捲し立てる
「ニノ、彼女は!?忙しいでしょ?
‥‥ゆうの勉強なら、しょーちゃん見てくれるし」
なんで‥‥焦ってンだよ
「イヤ‥‥単純にゆうに会いたいんだけど」
「そ、そう?そうする?」
「そのつもりだけど」
なんだ、コイツ?
やっぱり何かあった?
「じゃ、今日は俺と二宮君に任せて、バイト行ってきなよ。
この前みたいに遅くなるなら、泊まるし」
黙って話を聞きながら、
残業までしてんのかって‥‥
やっぱり、経済的な問題は解決出来てないんだなって思う
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