第1章 終わりの始まり
【焼きそばパン】
「相葉くん‥‥いる?」
2-A
生徒手帳に書かれてたアイツのクラス
昼休みに行ってみた
「えっ‥‥相葉くん‥‥?」
廊下にいた女の子が、教室を覗き彼の姿を探してくれたけど‥‥
「おかしいな。さっきまで、騒いでたのに‥‥」
もしかしたら、購買部に行ったのかも知れないと言われ行ってみることにした
昼休みの購買部は、予想以上の混雑で
人の群れを遠くから見守りながら出直そうと思った時、
幸せそうに、焼きそばパンを抱いた男が現れた
「あ‥‥」
「あれぇ‥‥?」
しばし見つめ合って、ポケットに突っ込んだ指先の感触で用を思い出す
「あの‥‥」
「焼きそばパンはダメだかんね!」
「は‥‥っ?」
「最後の1個だったんだ」
呆れながらも、渡そうとした手帳を
相葉が急に走り出すから、タイミングを逃す
「ちょっ!?おいっ‥‥」
慌てて追い掛けた俺に、顔だけ振り返って言った
「とりあえずトイレ!ずっとガマンしてたんだ」
「え?何だぁ!拾ってくれたの?わざわざありがと」
「‥‥いーえ」
なんか、疲れた‥‥
「はい!お礼!」
「えっ‥‥」
ヤツが手渡してきたのは、卵サンド
「‥‥俺、焼きそばパンがいい」
からかいたくなって、ワザと言ってみる
「えっ!焼きそばパン!?ちょっ‥‥待ってよ」
「感謝してんならいいでしょ」
「うぅ‥‥じゃ、ジャンケンにしない!?」
「ヤだよ」
あまりに必死だから、ますますからかいたくなる
「じゃ、半分こ!ね!ニノ!」
「‥‥に、の?」
「だって、言いにくいもん!‥‥二宮」
「言えてんじゃん!」
「(笑)」
ニノ……だってさ
お前はこうして、簡単に俺の懐に入った
焼きそばパンのせいかもね
ちょうど俺、 腹減ってたしね
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