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真昼の月 真夜中の太陽 【気象系BL】

第7章 僕が僕のすべて


【イミテーション】




誘導されたドアの前に立ち、ひとつ深呼吸

ノックして開いたドアに、思い切り頭を下げる





「ご、ご指名っ‥‥ありがとうございます!マサキです!」





教えられた通りのセリフを言い、顔を上げた俺の目の前には


初めての指名客が 、笑顔で俺を見てた







「こんばんは」

「‥‥ユウさん」



呆然とする俺を、‥‥座るよう促し、

たどたどしく隣りに座ると
ユウさんは、ため息を吐いて俺を見た




「やっぱりいたんだね。
後悔して、逃げ出してくれればと願って来たんだけど」

「決めたことですから」






あの日


ニノをこの場所で見た日



『代わりに働きますから』


そう言った後、俺は、
止めるユウさんを押し切って店に戻ると、働かして欲しいと頭を下げた


副支配人だというその人は、

簡単な口頭だけの面接と、全身をジロジロ見るだけで呆気なくOKを出した




『お願いします。俺、何でもしますから!』



ニノのことも、必死で何度も頼み込むと、上に通すと約束してくれた




「俺、大丈夫なんで!
心配しなくていいんで!ユウさん、帰って下さい」

「マサキ君」

「ニノはっ俺がちゃんと責任持って…」



そう声を上げた俺の肩を、 ユウさんがギュッと掴む



「もう‥‥わかったから。
その代わり、俺にも責任取らせてくれるかな」




意味がわからなくて、何も言えない俺に、ユウさんは柔らかい笑顔を見せた






「君が仕事に出る日は、僕が君を指名するよ」

「え‥‥」

「カズみたいに後悔したくないんだ」

「何言ってんですか!
俺はユウさんに、そこまでして貰う理由が‥‥」

「君はカズの大事な友達でしょ?それが理由だよ」







今朝起きた時から

イヤ、やると決めた時から

ホントは物凄く怖かった

トモダチをあんな目に合わせたクセに
想像だけで、勝手に身体がガタガタ震えた



最低だって思うのに、
不安で‥‥怖くって‥‥






「とりあえず今日は、

学校でのカズの話聞かせてよ」






不安で押し潰されそうだった気持ちが‥‥


ラクになるのを感じた



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