第7章 僕が僕のすべて
【スパイラル】
ー雅紀sideー
「大丈夫かい?」
堪えきれなくなって泣いてしまった俺を
ユウさんは車に乗せ、 しばらく黙って居てくれた
「やっぱり、黙っておくべきだったね」
「……いえ。そんなことないです」
必死で表情を取り繕い、ユウさんにそう応えたけど‥‥
動揺は隠せなかった
「僕もね。最初知った時はショックで…。
叔父として、もっとあの子といるべきだったってね」
「ユウさん‥‥」
「あんな事しなくても相談してくれたら‥‥お金だってどうにか」
叔父さんに、俺んちの借金の話‥‥ ニノはしないよね
きっと、自分がどうにかしようって思ったんだ
自分さえ犠牲になればって‥‥
「どうにか止めさせようってね、
カズと話はしたんだけど頑なに辞める気はないって」
辞めない理由は、
全部、俺のせい
アイツは優しいから
でも、それなら
ウチの生活が落ち着いたってわかったら、きっと辞めるよね?
「それに、店の方に辞めさせたいと掛け合ったんだけどね‥‥」
ユウさんは、大きなため息をついて、
肩を落とし酷く疲れた表情をした
「こんな仕事、契約を破れば何をされるかわからない。
元々違法経営でも、こういう店はガラの悪い連中がバックについてる」
「契約‥‥」
「カズは短期で高額稼げるよう、店側と色々契約したみたいで」
すぐには‥‥やめられない
借金も返さなくちゃならない
だけど、ニノには
こんな事もう、させられない
答えはひとつ
開いた唇は、カラカラに渇いてた
俺は、運転席のユウさんに向かって
どうにか言葉にした
「俺が‥‥
代わりに働きますから」
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