第5章 決意
目を覚ました牡丹に寄り添いながら、国王に聞いたすべてのことを打ち明けた。牡丹は聞き終わると何処か悲しそうな表情を浮かべる。
「本当に国王…父が悪いことをした。20年も家族と離れ離れにしてしまって悪かった。父の代わりに詫びるよ。」
「ううん。だって誘拐されてなかったら、アレク様に出会うことも、こうしてアレク様の腕の中にいることも、なかったわけですよ。そう考えると、誘拐してくれた国王様に感謝すべきだと思います。」
牡丹がにこりと微笑むと、アレクの胸はぎゅっと締め付けられる。どうして笑顔でいられるのかアレクには理解できなかった。
「今日は遅いから、明日すぐにでも衛兵、何人かをつけて国に帰るか?それとも…」
「ありがとうございます。スノードロップに帰りますね。」
それとも、このままずっと俺の側に居てくれないか。
アレクの言葉は遮られてしまった。
牡丹と肌を重ねる最後の日になってしまった。