第6章 【最終章】さいごでさいしょの日
翌日、アレクが屋敷を歩いていると見覚えのある後ろ姿に胸が高鳴ってしまった。腰まで流れる金髪あれは…
「牡丹!」
肩を掴み振りつかせるとそこにいたのは…
やけに大人びた…と言うか失礼かもしれないが20歳は歳をとったのか貫禄の出た牡丹だった。
「牡丹…どうしたんだ…」
「グレイシャここでは牡丹と呼ばれていたのね。ふふ。」
「お母様…!またふらふらして最初は国王に挨拶をすると言ったではないですか。ってアレクではないか!」
少し大人びたグレイスは、それをお母様と呼んだ。アレクは首をかしげる。
「グレイス、お母様倒れたって言ってたから失礼だけど亡くなられたのかと思ってたよ。牡丹に泣いて縋ってたし。」
「倒れたのは本当だけど過労でね。あの時はお母様が恋しくてつい。あはは。」
「まあ、グレイシャまで待っていられなかったのね。やっぱり血は争えないわね。」
グレイシャはグレイスの双子の妹…牡丹の事だ。
アレクが振り向くと、あの頃のは見違えるほど綺麗で誇りのある女性が立っていた。
時が止まってしまったのかと錯覚する程、周りの景色など消えて牡丹しか目に映らなかった。グレイスとお母様が居なくなっていたことにも気づかなかった。
「遅くなってごめんなさい。アレク様に似合う女性になりたくて国で1から自分を磨きなおしたの。お稽古も食事マナーも初めてで慣れるまで時間がかかったのよ。」
「牡丹…グレイシャ、今日が何の日かわかる?」
アレクは何処か震えていた。
「今日は、俺と牡丹が初めて会った日から1年。そしてグレイシャとあった初めての日だよ。」
「初めましてアレク様、私スノードロップ第一王女グレイシャと申します。本日は縁談を申し込みに来ました。」
「グレイシャ王女、今後ともよろしくお願い致します。」
2人は約1年ぶりの再会を果た。
国王と王女。2人は身分は気にせず
いつまでもいつまでも幸せに暮らしましたとさ。
END