第5章 決意
「さよなら。」
「アレク様ありがとうございました。」
早朝、牡丹はスノードロップに戻るためアレクの用意した馬車に乗り込む。扉を閉めようとするとアレクが乗り込む。
「アレクさ…んっ」
メイド服ではなくかわいいドレスを身に纏い薄くメイクをした牡丹は、今までで一番可愛かった。牡丹にキスを落とす。アレクの唇は少し震えていた。
唇が離れるとお互い目には涙を浮かべていた。
出会いは良いとは言えないが、いつの間にかお互いを想いあって素敵な時間が流れていたことを走馬灯のように思い出す。
好きな女性のタイプはと聞かれたら牡丹と答えよう。
好きな男性のタイプはと聞かれたらアレクと答えよう。
扉を閉めると馬車は走り出す。
さよなら。大好きだった人。
夕刻になると、無事にスノードロップに着いたと牡丹が電子鳩から手紙が届いた。