第5章 決意
話ってなんだろう。牡丹が考えているとメイド達の会話が聞こえてくる。
「今夜、皆さんでイザベルさんの屋敷のパーティに行くみたいよ。」
「あら、そのパーティ婚約の発表と聞いたわよ。」
「二方、歳も近いしお似合いよね。」
婚約発表。アレクはその事を伝えるための話なの?
牡丹は何故か悲しくて、涙が溢れそうになる。胸が苦しい。自分はやっぱり遊ばれてたの。
王子とメイドなんて釣り合わないもんね。
夜が来てアレクは国王と馬車に乗り込む。牡丹は屋敷の二階からその姿を見たいた。話があるって言ってたことを忘れているらしい。
婚約のことを聞くのも嫌だったので、牡丹は何処か安心した。
開いていた窓を閉めて、仕事の続きを始めた。
アレクは馬車に乗り込むと、屋敷を見上げ牡丹の後ろ姿を目で追っていた。