第5章 決意
アレクは全てを牡丹に打ちあけようと考えていた。そして今夜と決意した。きっとこの事を話せば牡丹は母国のスノードロップに帰ると分かっていたが、真実は隠したく無かった。
「牡丹…大切な話があるから今夜いいかな。」
「はい。大丈夫です。」
いつもと雰囲気の違うアレクに牡丹も困惑していた。頭を優しくポンポンするとアレクは何処かへ行ってしまった。
「アレク久しぶり。」
本当に久しぶりの声に振り向くとそこには婚約者のイザベルが立っていた。屋敷は出入り自由となっているのでもう驚くことはなくなったが、最初の頃は屋敷に他国の姫が1人でいることに違和感を持っていた。
「ああ、久しぶり。」
「今夜、私の屋敷でパーティーがあるから誘いに来たの。来てくれる?来てくれるよね。絶対よ。」
それだけ伝え、手をヒラヒラとさせて、歩き出す。アレクの予定なんて一切聞こうとはしてくれない様子。