第1章 ~第一章~すれ違う二人
「…でも、私はジルの仕事熱心なところも好きだから」
そう言って私が僅かに頬を染めながら微笑むと、レオは目を細めながら私の顔を覗き込んだ
(…?レオ…?)
「突然、どうしたの?」
訳がわからず、思わず首を傾げると、レオはふっと笑いながら少し低い声で囁いた
レオ「ちゃんは健気だねぇ~…でも俺ならちゃんに、こんな寂しそうな顔させないけどなぁ」
「え…?それってどういう…」
そう私がレオに尋ねようとすると突然、執務室の扉が開いた
??「……何をしているのですか」
「…っ!!ジル!!」
思わず声のした方へ顔を向け、私がにっこりと微笑むと、私の方へとつかつかと歩いてきたジルはレオから遠ざけるように、私の肩を抱き寄せた
「…っ、ジル、いったいどうし…」
突然のことに驚き、私が頬を染めながらジルを見上げると、ジルはレオへと鋭い視線を向けていた
(……ジル…?)
ジル「…気安く、私の妻を口説かないでいただけますか」
そう冷たく言い放つジルに臆することなく、レオはふっと笑みを浮かべた
レオ「そう言うなら、可愛いちゃんにそんな顔させなければいいでしょ」
そう言ってレオは眉を寄せながら、また大袈裟に溜め息をついた